第11章 トランプと少女
カーニバル当日、ルルとの買い物も含めて町を見学する約束をしていた。
第一、ホームも確実に安全とは言えない。
奴に不可能はない、自分でいつも言っているが、まさしくそうである。
仕方なく、ルルを連れて行く。
ルルはウキウキ気分でいつもよりお洒落な格好をし、クロロに髪をいじってもらい、ご機嫌だった。
「この前は油断したな。怖い思いさせてすまなかった。今日は、手を離すなよ。」
クロロが笑顔でいつもの注意をしてくれる。
ルルは昨日のこともあり、いつもより大切にぎゅっと手を握ってくれたことが嬉しく、すっかり顔を赤らめてしまう。
このカーニバルは、この町の昔からの風習で、貴族階級と庶民階級が隔たりなく楽しく過ごすというイベントである。
勿論昔ほどの貧富の差はないので、ただ賑やかに仮装して祭りの雰囲気を味わう物だ。
巨大な商店街まで出ると、巨大なパレードカーがお出迎えしてくれた。
カラフルに彩られた大きな仮面をモチーフにした車が、仮装した人々を乗せて町の中央広場に向かって行進をする。
派手な踊り子が周りに紙吹雪をばらまきながら踊り、着ぐるみの動物たちも楽しそうに踊っていた。
いつ襲ってきても対応出来るように気を張り巡らせていたが、一向に向こうから襲ってくる気配はない。
不意に、袖を引っ張られ、驚いて見ると、ルルだった。
おなかすいた、と口パクで言った。
「…そうだな、なんか食べるか?」