第11章 トランプと少女
「お前は俺との間を結んだ、声を代償にして。どっかで読んだ話だな。馬鹿にしていたはずなんだが。」
記憶の欠片にも残っていないだろう。
念で出来た本の犠牲になったのだから。
代償として彼女は全てを捧げてしまった。
彼はもう決意していた。
彼女の声と記憶を取り戻すことを。
まずは本だ。ヤツが持ち去ったと言っていた。
素直に渡すとは到底思えないが。
「ヒソカの居場所はどこだ?」
ホームに集まったいつもの面子を見て開口一番の一言。確信である。
自分に対していつも挑戦的なのは彼しかいない。
「ここ最近見てないね。マチは?」
自分に奴の話を振られたことに、不機嫌なオーラを隠せないマチ。
低いいつもの冷静な声で言った。
「天空闘技場にしばらくいたよ。でも明日、カーニバルがあるっていう町があるだろう。そこで仕事だって。」
明らかに居場所がわかっているのはおかしいが、どうやら彼はかなり挑戦的らしい。
「仕事?」
「多分盗むよ、ルルを。」
見えていた答えだった。ヒソカはクロロがルルを発見したのを知っている。
本を盗んでおびき寄せ、尚且つ本気で戦闘をする為にわざわざルルまでさらう予定だと言う。
本の存在をいつ知ったかわからないが、ルルの書いたページを見て確信したに違いない。
「楽しい狩りになりそうだ。」