第7章 満月の夜と少女 裏
ルルの隣に、射精から来る独特の気だるさと眠気で横たわっていると、彼女から胸に頬をすりよせてきた。
猫のような仕草にくすぐったさを感じる。
下半身はまだ熱かったが、無理もさせられないと自分を叱咤。しかしこんな姿を見てしまうと止められるかもわからない。
「痛かったよな、悪いな。ちゃんと大事に優しくするって言ったのに…。」
こんなこと言ったことなかった。
拒否されるなら結構。違う女を買うだけ。そうとしか思えなかった。
あんなにひどい目にあっても、ましてや知識がなく、純真無垢な彼女にいきなりセクハラまがいな、同意があってもほぼ強姦のようなことをしてしまった。
若干の後悔が後ろからじわじわと追いかけてきて、捕まえられたようだ。
しかし、彼女は俺の胸の中で、顔を見上げて、ゆっくり笑う。
それは恨みも憎しみも悲しさも混じっていない、ごく普通な、幸せそうな笑顔だった。
なんで彼女が自分にそんな表情するのかわからなかった。
声のない彼女はぽつりと、
「おなかいっぱいになったとき、みたいに、ふわふわする…。」
と俺の耳元でそう言った。
「それが、嬉しい、とか、幸せ、っていうやつだよ。」
と返事した。
今まで自分自身もそんな気持ちになったのかわからない。
でも確かに今、彼女と同じ気持ちだった。
まるで、何かを手に入れた高揚感、そして宙に浮いてしまえるのではないかという気分の身軽さ。
美味しい物を口にした時のような、満足感。
盗賊の頭が何を言っても説得力ないだろう。
もしかしたら、これが普通の人間が言っている、「愛しい」という気持ちなのではないだろうか。
ルルの髪をくしゃっと撫で、そのままお姫様抱っこと言われる抱き方をして浴室に向かった。
2回目はやはりお預けだったが、なんとなく、いい気分で眠ることが出来た。