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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第7章 満月の夜と少女 裏


あの日、俺が感じた好奇心は、もしかしたら運命だったのかもしれない。

あの屋敷には、どうしても俺が欲しい本があった。
内容は、大したことではないが、思い描く理想が叶う本、それに関する記述だった。
念を使った本の為、発見もしずらければ普通に手に入れることも出来ず。
屋敷に感じた気配、少女の気配に俺は興味を全て持っていかれてしまった。
勿論、本を盗んだ後に少女を拉致した。
女は細くて小さく、真っ白な肌をしていた。
彼女は鳥籠に入れられたカナリアを彷彿とさせる。
ただ、声を失っていた為、観賞用となってしまっているが。
声を失ったことにも興味があったが、何より、彼女そのものに好奇心が疼いた。
何故だかわからない。彼女の一つ一つの動き、表情、揺れる髪、瞬きする度に光る睫毛。
一日眺めていても飽きることなんかなかった。
ホテルに連れて帰ると、まずあまりに少ない言葉を補ってから色々な話を聞いた。
声を聞くことはやはり適わなかったが、彼女の全てにそれは魅力を感じた。
ルルは本当に何も出来ない。
今まであの屋敷で甘やかされて育ってきたのか、髪の洗い方、食器の使い方、はたまた服の着方すらわからないような状況だった。
最初は、知的障害があるのかと思ったのだが、そうではない。
外界から閉ざされ、完全な密室空間が彼女にとって世界の全てだった。
付きっ切りで面倒を見なくてはならないことに、最初は嫌気を感じたが、段々自分の色に染められることに、小さな支配欲に対する満足感を覚えた。
否、そうだと思っていた。
5日が経つと彼女は文字を少し理解し、一緒に絵本程度の読書をしたり、テレビを観たり出来るまでになった。
まだまだ小さな子供のような言葉と表情だったが、自分が今まで触れたことのない人種だっただけに何度か魅入ってしまう。
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