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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第5章 買い物と少女


朝起きると、既に朝食は整えられており、クロロはスーツ、額には包帯を巻いて準備完了していた。
ルルはゆっくり起き上がると、テーブルの近くまで歩いて行った。
右側だけ寝ぐせのついた髪を指で少しだけ直すようにいじりながら、借りたYシャツの裾を整えて空いている椅子に腰かけた。
「おはよう。」
背後からクロロの声がする。
視線を天井近くに向けると、クロロの耽美な顔が瞳に映った。
ルルは口パクで、おはよう、と言い、またテーブルの上に並べられた食べ物に視線を向けた。
すると髪をひと束掬いあげられる感覚がした。
クロロが小さな櫛を使い、髪を梳かしてくれている。
「指だけじゃ直らないだろう。」
と小さく笑った。
髪を梳かしてもらっている間も、彼女の視線は食べ物に集中していた。
ようやく終えると、クロロは向かい側の自分の席に座り、またルルに膝の上に来るように、手で合図した。
彼女はうなずくと、ゆっくりとまた膝の上に乗った。
「いただきます。」
いただきます、と口パクだけれども言う。
朝ごはんの果物を、右手でのフォークの使い方とともに教えていく。
パイナップルと林檎をさくさくと刺し、自分の口に運ぶ。
クロロはそれを後ろから静かに見ていた。
やはり一人分の食事は難しく、最後に紅茶を少しだけ口にすると、もう食べれないという意味で、
ごちそうさま…と寂しそうにつぶやいた。
ルルを膝に乗せたまま、自分も朝食のマチェドニアを口にした。
すると、ホテルの扉からノックの音が聞こえた。
「団長、朝から呼び出してなんの用?」
外からマチのくぐもった声が聞こえる。
「空いている、入ってくれ。」
中に入ると異様な雰囲気で食事する二人に、普段冷静なマチが一瞬ぎょっとした表情になった。
「何、もうそんな関係になったの?」
「こいつがあんまりにも礼儀がなっていないからな、躾中だ。」
「そ、まあどうでもいいけど。」
動物のようなルルの扱いに少しだけ同情してしまった。
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