第1章 季節外れの転校生

先「はい、おはよ～･･･」




担任の渡辺巧(ワタナベ タクミ)先生。

歴史の担当で34歳独身。
前髪が目にかかっていていつも邪魔そうで、
そんで、いつもぼーっとしている覇気のない先生だ。




先生は教室をぐるっと見回す。

これが本人曰く、出欠確認らしい。

･･･毎日こんな適当でいいのかな(笑)








先「よーし、今日はみんなに紹介したいやつがいる」

「先生、彼女ですかー？」

先「とりあえず、お前は黙ってろー」






･･･転校生とか？

この時期に･･･？




教室中が「なんだ？」と
落ち着きをなくしていることなど気にせず、
先生は扉の方へ足を進める。




先「入って来い」



クラス中が扉の方へ注目する。












ガラガラ･･･






その人物が扉を開けた瞬間、
風が教室にぶわっと吹き込んできた。



サラサラの黒髪が風になびき、
少し顔を伏せ気味にした横顔はあまりにも綺麗だった。



ひどく整ったその顔は、テレビで見る俳優なんかよりも
かっこいいのではないかと思ってしまうほどだ。








「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」








クラス中がシーンと静まり返っている。





そんな中、第一声を出したのは、渡辺先生だった。


先「はい。転校生の結城君だ。自己紹介して」



そう促され、転校生は教室全体に目を向け、
ニコッと笑った




「今日からこのクラスでお世話になります。
　結城清玲(ユウキ セイレイ)です。

　転校してきたばかりで何も分からないので、
　みなさん色々と教えてください。

　これから、どうぞよろしくお願いします。」




一礼し、ゆっくりと起き上がり、


そして、もう一度･･･



ニコッ☆












「「「「･･･ッ･･･キャーーーッ‼」」」」








ガラスが割れたかと思うような声だった･･･







ダメ押しキラースマイルで、

クラス中の女子が






マジで、




･･･壊れた。