第1章 季節外れの転校生
◆「ちょ、結城君?な・・・に・・・?』
髪の毛と同様、少し茶色がかった瞳を見つめる。
◆「へ?結城君?ど、どうかした?」
ん?あの、とろんとした目にならない。
・・・もう少し長めに・・・
◆「も、もしもーし・・・結城くーん?」
『・・・・・・・・・・・』
あれ?おかしい・・・
しっかり見つめ合っている。
むしろ向こうもばっちり目を合わせてきている。
なのに、何も起こらない・・・
おやおや・・・?
そんなことを考えているうちに
目の前の女の子は何だかおなしな勘違いをし始めた。
◆「・・・ご、ごめんなさい!」
あれ、謝られた・・・。
◆「あ、えっと・・・無神経に聞いちゃったよね・・・」
ん?無神経・・・?
◆「なんで引越ししたのかなんて他人に関係ないしね。
ご、ごめんね?今のは忘れて?」
・・・え、なに?
引っ越しのこと聞いて怒られてると思ってんの?
この子・・・
見つめてるのに・・・?
◆「ゆ、結城君・・・?あの・・・許してもらえますか・・・」
そう言って、目の前の女の子は少し眉を曲げて
俺を見上げてきた。
あ、意外と可愛い・・・
じゃなかった・・・
うそ・・・
じゃあ、さっきの話本当だったんだ・・・
なんか・・・やっぱムカつく・・・
『・・・本当に何もないんだね・・・』
◆「・・・は? ・・・結城君?」
『・・・うわー、初めてだこんなの!
赤くもならない。目をそらしもしない。』
◆「・・・ん?結城くん?」
『はぁ、なんか複雑っ』
◆「え、ちょっと!結城君!なに!?」