第1章 季節外れの転校生
ズンズンズンズン・・・
あ、あれ・・・?
ズンズンズンズン・・・
気のせいかな・・・?
桜井さんめちゃくちゃ歩くの早い・・・
あー、こういう女の子の態度はよく知ってる・・・
・・・もしかして怒ってる・・・?
でも、なんで?
『えーっと、桜井さんだっけ?歩くの早いね・・・』
ズンズンズンズン・・・
ズンズンズンズン・・・
あれれー?返事がない・・・
やばい・・・
このままじゃ何もできないまま終わっちゃう・・・
直接聞いてみるか・・・
『・・・何か怒ってる?』
そっと聞いてみると
◆「・・・いや怒ってないよ。
早く取ってきて、授業戻った方がいいかな?って・・・」
あ、返事してくれた。
よし。
『あ、そっか。良かった』
そしてここで、
ニコッ☆
どうだ!これでキミも俺の虜・・・
◆「あはは・・・」
・・・え、なに今の反応・・・
完全に苦笑い・・・
やっぱ、さっき言ってたのは本当なのかな・・・
でも、だからって引き下がりたくないし・・・
どうしたもんかな・・・
「・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・』
完全に会話が途切れた・・・
はぁ・・・上手くいかない・・・
そう思ったとき
◆「・・・え、えっと、結城君は
どこから引っ越してきたの?」
『!?』
し、質問された!!
やっぱり、この子も俺に興味あったんじゃん!
あ、きっと恥ずかしくてさっきまでの態度取っちゃってたんだな!
お!そう思ったら、そんな態度も可愛く思えてきたぞ!
もう、ここは、あと一押し・・・
ぐいぐい行こう!!
ぐいっ!
◆「・・・うぇっ!」
言葉の通り、ぐいっと腕を引っ張ってみたら
簡単によろめいた。
身長は少し高いけど、俺の方が十分高い。
引いた腕は細く、ちゃんと女の子だ。
さあ、この至近距離で見つめてしまえば、
もう、チェックメイトでしょ・・・