第9章 番外編 出会い
『・・・え?』
誰も声を発しなかった状況で
急に聞こえた声・・・
声の主は、桜井さん。
“会えないの?”
どういう意味だ?
◆「もう、お母さんには会えないの?」
もう一度、質問された。
桜井さんを見ると、
何だか悲しそうな目をしている。
『あ・・・いや、離婚しただけだから
月1くらいでは会ってる・・・』
桜井さんの真剣な目につられて
俺までも真っすぐ
桜井さんの目を見つめて話していた。
◆「そっか・・・
そっかそっか~」
急に笑顔になる桜井さん。
『・・・え?』
◆「もう、会えないんじゃないんだね
いっぱい会えるんだね」
『う、うん・・・』
急な桜井さんの笑顔に
さっきまでの気まずい雰囲気は
どこかへ行ってしまった。
◆「私の家もね再婚してるよ、
今、そんなの普通だよ~」
“普通だよ”
その言葉に驚いた。
今までこの話をして
そんなこと言う人は誰もいなかった。
いつもみんなを気まずくしてしまうのに
あははっ
桜井さんは、俺の悩みを
“普通だ”で片づけてしまった。
初めてだった。
そっか・・・
全然普通なのか。
何だか、胸がパっと
明るくなったように感じた。