第7章 ~来栖翔の場合~
「おう!気をつけろよな!じゃ、」
翔くんは笑ってから、サッと片手を上げて歩いていってしまった。
「ふふっ…!」
先ほどまで会えなくて苦しかったのに、今は魔法にかかったみたいに嬉しさでいっぱいだった。
「よかったね!
いやー、ナイスタイミングだわ…!」
愛結美は笑顔で私の頭をぽんぽんと撫でた。
「ありがとう!」
私も愛結美に笑顔を返す。
会いに行かなくても、翔くんは私のことを見ていてくれてるって気づいた。
あと、翔くんは私の気持ちに気づいたとしてもきっと避けたりはしないということも分かった。
だって、ハンカチを渡してくれるとき彼の顔が顔が少しだけ赤くなっていた気がしたから…。
もしかしたら、同じことを想ってくれてるんじゃないかって…。
私の片想いの色は…そばにあると安心して、優しくて心強い、お気に入りのハンカチと同じピンク色でしたー。