第4章 ~四ノ宮那月の場合~
「おーい!北橋ー!!」
学園内の廊下を歩いていると、同じクラスの一十木音也くんが手を振りながら駆けてきた。
「音也くん!?どうしたの?」
「突然なんだけど、今日の夜って空いてる?」
「空いてるけど…何かあるの?」
首を傾げて尋ねると、音也くんは頭をガシガシとかいた。
「いや、実は今日の夜、流れ星が見られるんだって!
それで、七海とか那月とか誘ったんだけど北橋もどうかなって…。」
那月くんも…か…。
「行こうかな…。
あ、愛結美も誘ってもいい?」
「本当!? もちろんだよ!
じゃぁ、6時に屋上で!」
そう言うと一十木くんは、あっという間に去っていってしまった。
早速、愛結美に今夜のことを話すと
「おおー!いいね!
流れ星か…。もしかしたら…」
愛結美は何か企むように私を見つめた。
「もしかしたら…何?」
「唯の恋が叶うかも!」
にっこりと笑って愛結美は私に抱きついてきた。
「それは無いよ…。そもそも恋愛禁止だもん。」
「今はね…。でもいつか、なっちゃんと付き合えるかもよ?」
「いや、星に願って叶うことじゃ…。」
なんて言いながらも、那月くんと付き合ったらということを想像してしまう。
那月くんは私が片想いしている相手で、とても優しくて可愛いクラスメイト。
「まぁ、今日なっちゃん来るんでしょ?
気持ちだけでも恋人っぽくするチャンスだと思うよ!」
チャンス…。今夜の天体観測が、未来を変えるかもしれないってこと…?
私は今夜、那月くんとの距離を縮められるだろうか…?