第1章 出会っちゃったねぇ。
小島「はい。
あなたのクリーニング屋さんの前は、
よく通るんです。
最初はクリーニング屋さんに
綺麗な人がいる、と言って
見ていたのですが、
それが日課のようになっていて…。
やり方はほんとに酷いですが、
1週間でいいので
大野さんと一緒に
生活をしてあげてくれませんか?
あ、このことは後で本人が
話をすると言っていたので、
内緒で。…着きました。」
私は返事をせず、車から降りて
お借りした傘を差し、
保育園に娘を迎えに行った。
先生に言ってしまおうか?
警察を呼んでもらおうか?
そんな思いも頭をよぎったが、
なぜだかしなかった。
娘「ママー!」
「ごめんね!遅くなっちゃったね!」
先生「たかしくんより
早かったねー!おとちゃん、
また明日ね!さようならー!」
「ありがとうございました!」
おと「さようならー!」
一つの傘に入り、
おとと一緒に車に向かう。
「今日はお母さんのお友達の家に行くよ。」
余計なことは言わず、
おとを不安にさせないように。
おと「ほんと?やったー!」
なんだか嬉しそう。
これでいい。
「お待たせしました。」
小島「いえ…。」
おと「ママの友達?」
小島「こんばんは。」
小島さん、お子さんいるのかな?
慣れてる感じがした。
それから車はゆっくりと動き出した…。