第1章 出会っちゃったねぇ。
「あ…はぁ…。それで父の容態は…!」
…そこから記憶が途切れた。
何か、布のようなものを小島さんに
口元に持ってこられた…ような…。
「…ん…。」
気づくと、コンクリートの壁が目に入った。
7月とは思えない、冷たい空間。
雨が降ってきたのだろうか、
とても湿気ている。
!…そんなことよりお父さんは!
起き上がると、
何もない空間が広がっていた。
私のカバンは…ない。
どうしよう。とても嫌な予感がする。
扉は開かない。
窓ひとつない空間で
何もできない自分に嫌気がさした。