第9章 大野くんの頭の中
俺を叩く腕を掴んで、
真剣な顔で。
「やっと触れた…。」
君の茶色がかった瞳。
ロングヘア。
白くて透き通った肌。
全てが愛おしくて。
頰を触ると、くすぐったそうに
下を向く。
そして、また顔を上げて
どちらからともなく唇を重ねた。
最初は軽く…。
だんだん深く…。
「あー!ダメだっ!!
よし!車出しまーす!!」
歯止めきかなくなるとこだった!
すると、の方から
俺に抱きついて来た。
かなりぎこちなくて、
頑張ってるのがわかった。
嬉しい…。
「翔くんの匂いだ。
この匂い大好きなの。」
耳まで真っ赤な。
俺も返事をするように
ぎゅっと抱きしめる。
俺たちには俺たちの形がある。
なにも型にはめなくていい。
「…行こっか!」
「うん!」
俺は車をゆっくりと発進させた。