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第39章 HAPPY WEDDING


目立つ事や、派手な事は大嫌いである。
ついでに面倒臭い事も。

だから、やらなくて良いものだと勝手に思い込んでいた。

「りら、スマン!」

発端は、鉄朗さんのこの言葉。

「いきなり謝られても意味が分かりませんが。」

当然のように返した私の前に、何やら紙が差し出される。
それは、私がどうしてもやりたくない、目立つし、派手だし、面倒だしの3拍子が揃ったイベント…披露宴の会場のパンフレットだった。

ただ、その会場のある場所は鉄朗さんの勤め先のホテルで。
先に謝ってきたのは、それもあって断る選択肢が無いからだと悟る。

「言い訳なら聞きます。」

私が、目立つのも、派手なのも、大嫌いだと知っている筈なのに、もうほぼ決めてきている。
仕事上の付き合いもあるだろうが、相談も無しに断れない状態を持ってくるのは卑怯だ。

冷たく言い放って、次の言葉を待った。

「こういうのは、纏まった時点で上司に報告するモンだろ?扶養の話とかあるしな。」
「…で。」
「式は多分挙げないっつー話もした訳よ。新婚旅行は行きたいが。」
「だから。」
「うちの社則でな、その休暇の取得が、原則‘挙式日から1週間’なんだよ。」

回りくどく話をしようとしたから、所々で口を挟んで簡潔さを求める。

やっと分かったのは、新婚旅行の為に挙式をするつもりになってしまったらしいという事だ。
新婚旅行すら、行こうとも思って無かった私からすると、腹立たしい事この上ないレベルの言い訳だった。
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