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第23章 仲直り


きとりちゃんが到着すると、当たり前のように始まるアレ。
人を景品にしたゲーム大会。
話し合いはどうなったんだ。
あまりにいつものノリ過ぎて、これから始まるだろう話の内容を忘れそうだ。

私が嫌がってもどうせ聞かないから、黙って見守っていた。

今回の種目は腕相撲。
絶対、木兎さんが勝つだろ。
そう思ったけど、木兎さん相手の時はハンデ戦になるらしい。
両手でやっていい、なんて卑怯じゃないか。

個室になっている座敷で良かった、なんて店側への迷惑とかも考える。
呆れながら場所を空ける為に不参加の人の元に寄った。
参加しないのは、いつも通りの月島くん…と、赤葦さん。
負けるのが分かっているからやらないのか、私に対して無関心になってしまったのか、それは分からない。

「…りら。」

勝負を眺めていると横から声が聞こえる。
先程、考えていた人からの声掛けに驚いて顔を向けた。
赤葦さんの顔は少し疲れて見える。

「ごめんね。」

ただ一言の謝罪。
別に赤葦さんが悪い訳じゃない。
私が意固地になって、実家に帰らないのが悪い。
自分がそういう気分だからって同居人の木兎さんを誘ったのが悪い。
だから謝られても困って、腕相撲をしている人達の方に顔を向け直した。
無視した訳じゃないけど、何を返せばいいか分からなかった。

「赤葦さん、寝ずにりらを探してたっていうのに随分と冷たい反応だね。ご機嫌取りでもして欲しいの?」
「月島、それは俺が勝手にやった事だよ。…りら、無視してもいいけど耳に入れて。」

相変わらず嫌味な月島くんを赤葦さんが宥めて、話を始めようとする。
無視をしてるつもりはない、と行動で示すように頷いた。
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