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第20章 理解者


黒尾さんは、呆れたように息を吐き出した。
言い訳が出来るといっても、否定されるのはやっぱり怖くて肩が跳ねる。

「…あのなぁ、ソレ、俺に話してどうすんの?」

予想外過ぎた言葉に目を瞬かせて様子を伺う。

「狡い、狡くない、決めるのは木葉だろ。向こうだって、家に連れ帰ってあわよくば狙ってたんなら、お前に拒否られた時点で二度と連絡取れないくらい思ったっておかしくねぇし。
逆に、そんくらい強引に引き留められて喜んでるかも知れねぇだろ。チャンス残してやったんだから。」

気が抜けたように乾いた笑いを漏らしながら続いた話は腑に落ちた。
なんで、こんなにも簡単に私が納得出来る言葉が分かるんだろう。

それだけ私を見てくれている、という事だろうか。

「…有難うございます。」
「礼言われる意味が分からねーよ。」

私を見て、知って、理解してくれるのが嬉しい。
お礼の理由を言えるくらい素直だったら、こんなに苦労はしていない。

「言いたかっただけです。」

可愛いげのない口からは、素っ気ない言葉だけが出ていた。
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