第7章 アルバイト
食事が終わって、片付けまで済ませてもリビングに残っている人達。
木兎さん、赤葦さん、きとりちゃんだ。
話題は未だに今日の話のようで、皆でデジカメを覗いている。
「…に、しても綺麗ですよね。本当に機会があれば、俺も撮りたいくらいです。」
「だよな!りらちゃん、マジでカワイーもん!」
会話に入る気にはならなかったけど、なんとなく声を聞いていた。
「…木兎は、うん。なんとかイケると思うけど…。」
「俺は駄目、という事ですか。」
二人を見回して言葉を濁しているきとりちゃん。
赤葦さんは大して残念そうな顔をしていない。
「駄目と言うか…。赤葦、私と身長そんなに変わらないよね?」
「はぁ、まぁ…。けど、りらとはそれなりに差ありますよ。」
二人の話を聞いていて、思い当たる事があった。
ヒールだ。
あれを履いた私は多分、赤葦さんより大きい。
言ったら男のプライドを傷付けそうだ。
「いや、その…。このドレス着せた時、りらにヒール履かせたからアンタよりデカいかなぁ、と。木兎とも、差はないだろうし。」
隠し事が苦手なきとりちゃんはあっさりと口に出す。
赤葦さんは一瞬だけイラっとした顔をした。
木兎さんもショックを受けてしょぼくれ始めている。
「ヒール履かなければ問題ないよね。今日はリエーフさんと合わせる為に高いの履いたんだから。」
誤解を解くきっかけをくれた恩もあるし、フォローするように声を出した。
「りらちゃん、俺とも撮ってくれんのか?やりぃ!」
撮るとは言っていないのに、木兎さんは一気に浮上して抱き着きにくる。
そんな木兎さんを私から引き離し、私を見つめる赤葦さん。
「りら、俺とは本番で撮るよね。」
本番も何も貴方と恋愛関係じゃないし、抜け駆け云々に文句付けてた人が言う台詞じゃない。
一々否定をするのも面倒で、撮りたくないから関係ない、とか拒否の姿勢を示した方が良かった、と後悔した。