第1章 始まり
高校を卒業して、すぐから住み込みで働いてた。
ただ、ちょっとした事でクビになって…。
家出同然で飛び出した実家には帰れず。
何ヵ月かの間、ネカフェを泊まり歩いていた。
そんな私の所に、掛かってきた電話。
『りら、アンタ仕事辞めたって?今、ドコに住んでるの?住み込みだったんでしょ。』
相手は、イトコのお姉さん。
昔から、私の事を気に掛けてくれていた人だった。
「…追い出されたからネカフェで寝てる。」
『荷物とかどうしてんの?』
「殆ど捨てたから問題ない。」
『問題大アリ。年頃の女の子がそんな生活してどうすんの?お金は?』
「貯金はまだあるよ。バイトも探してる。」
『住所不定が何言ってんの?』
「それ、一番の問題なんだよね。」
『やっぱり問題アリじゃない。』
電話越しでも分かるくらい、長い溜め息が聞こえた。