第1章 朝焼けの声
私は朝が嫌いだ。
特に、朝焼けの光が、色が、私の心の奥底を揺さぶるように乱して止まない。
それが何故なのかは、わからない。
昼まで寝てしまいたいと何度思っても、毎日、毎日朝焼けと共に目が覚める。
気が付けば掌を爪が食い込むほどに握り締めて、心の臓は魘された後のように動悸がする。
何度繰り返しただろうか。
何度繰り返すのだろうか。
冷えた心を荒らすその感情が何処から来て、それが何を意味するのかは、分からない。
特に、今日という日は切なくて堪らない。
締め付ける胸の痛みを強調させるようにドクドクと音を立てる鼓動が私の耳を支配していた。
体の中を巡る血が、まるで私自身に何かを訴えるかのように、流れていく。
戦に出ればいつ壊れようと可笑しくはない。
生きていると、実感させられているのか、それともまた違う何かが私を駆り立てようとしているのか。
危険だろうと何だろうと、思うことなど何もない筈なのだというのに。
私には守るものなど、無いのだから。