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縁側で鼻歌を

第1章 誠心誠意頑張ります。


本丸までの移動には時間がかかるようで、不思議な門をくぐった割にはそこにあるのは小さな部屋で、エレベーターのようにここが移動しているのだという。
門をくぐったというのになんとなく気が抜けた私は神宮寺さんと自分の予備知識の擦り合わせをしていた。

やはり審神者という就いたら戻れない、秘匿性の高い職業を市販の本などで勉強した程度ではあまりに知識が少なかった。
しかも本に書かれた審神者は大抵1から本丸を大きくしていて、今回の私のケースには当てはまらなかったのだから仕方ない。
役に立ったのかそうでないのかは微妙だったが、資材の運用については神宮寺さんからも褒められたので、まぁ無駄ではなかったらしい。

このあとの私の審神者としてのやる事は大きく2つ。
1つ目は、向こうに着いたらまず私は結果を張る。
しかし結界は契約した刀剣男子にしか作用しない。
つまり2つ目は結界を張るとすぐ刀剣男子達と契約する必要があるという事だった。

基本的には審神者の摺った炭で書いた紙から審神者の神力を得る事で顕現し、顕現時に契約がなされる。そうして刀剣男子達は酸素を得て、その力を発揮することができる。
しかし今回のように直接顕現していない刀剣男子が審神者の神力を得るためには直接審神者の身体に触れる必要がある。

つまり、ただ結界を張っただけではなく、私は刀剣男子達の肌に触れてあげなければいけない。

そこが何よりの問題だった。

今まで何度も生死をさまよった自分が、果たして素直に見知らぬ人間の手を取る事ができるだろうか?



ぐっと、キャリーバッグを持つ手に力が篭り、ごくりと唾を飲んだ。
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