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Harry Potter 《賢者の石》

第2章 ダイアゴン横丁


「こんなのが全部ロンドンで買えるのかな?」

思ったことがつい口に出てしまった。

「えぇ、どこで買うか知っていれば。」

ミネルバがミライの後ろから答えた。
どうやら今到着したようだ。



「さぁ、着きましたよ。」

ミネルバは立ち止まった。

「「漏れ鍋」ーーー有名なところです。」
ちっぽけな薄汚れたパブだった。
ミネルバに言われなかったら、きっと見落としてしまっただろう。
足早に道を歩いていく人たちも、パブの隣にある本屋から反対隣にあるレコード店へと目を移し、真ん中の「漏れ鍋」にはまったく目もくれない。

ーーー変だな、私達にしか見えないのかも。

ミライは思ったが、そう口にする前に、ミネルバがミライ達を中へと促した。
有名なところにしては、暗くてみすぼらしい。
隅の方におばあさんが二、三人腰掛けて小さなグラスでシェリー酒を飲んでいた。
一人は長いパイプをくゆらしている。
小柄な、シルクハットをかぶった男がバーテンのじいさんと話している。
じいさんはハゲていて、葉の抜けたクルミのような顔をしている。
ミライは普段来たことのない空間を目に、目を輝かせていた。

「おや、東洋人かい。」

バーテンがクロサキ一家を見た。
NAME5#がにっこりと笑い答えた。

「はい、日本人です。」

バーテンが驚いた様子で言った。

「日本人は珍しいんじゃないか?」

「えぇ、200年ぶりです。」

ミネルバが答えた。

「まぁ!そんなに久しぶりの日本人なんですね。」

メグミがパブのをきょろきょろしていた目を止め言った。

「元々アジア系は少ないんですが、日本人は特に珍しいんですよ。」

ミネルバはそう言いながらパブの奥に向かった。

「そろそろ行きましょう。買い物が山ほどあります。」

ーーーそうだ、あのリストの物全部そろえなきゃいけなかった。

ミライは今日ここに来た目的を思い出した。
ミネルバはパブを通り抜け、壁に囲まれた小さな中庭にミライ達を連れ出した。
ゴミ箱と雑草が二、三本生えているだけの庭だ。

「少し下がってください。」

ミネルバが杖を持ち壁を三度叩いた。
すると叩いたレンガが震え、次にクネクネと揺れた。





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