第1章 知らない人からの手紙
ギルフォード通り三番地の住人クロサキ家は、仲の良い日本人の家族だ。
そして、休みの日は家族で読書をする程の読書好き一家でもあった。
一家の主であるシオンは根っからの本好きだ。
愛読書はヴァージニア・ウルフの「オーランドー」というロンドンを舞台にした作品だ。
その作品に影響を受けシオンはイギリスに住むのが夢であった。
そのため、イギリスで働いていたメグミとの結婚を気にイギリスに移住して来たのだ。
そんな彼らの周辺で、これからまか不思議な出来事が起こることを、まだ誰も知らない。
シオンは、翻訳の仕事をしていた。
横に細く、縦に長い外見から遠くから見るとマッチ棒の様に見えた。
奥さんのメグミは結婚後、仕事をやめ今は専業主婦をしていた。
髪が長く、とても綺麗な顔立ちだ。
クロサキ夫妻にはミライという女の子がいた。ミライは大人しく父親譲りの読書好きで、少し人見知りはするがとてもいい子だ。
さて、ある日曜日の朝のことだ。
クロサキ一家が目を覚ますと、外はどんよりとした灰色の空だった。
物語はここから始まる。
まもなくこの一家の運命が変わる出来事が起ころうとしているなんて、そんな気配は曇り空のどこにもなかったトントンとドアを叩く音がした。
郵便が来たんだろう、そう思ったメグミが玄関へ向かった。
「はーい。今開けます。」
「あら……」
そこには黒いローブを身にまとった女性がいた。
「おはようございます。ホグワーツ魔法技術学校から来ました、ミネルバ・マクゴナガルといいます。」
「お嬢さんに、ぜひともホグワーツに入学して頂きたく学校について説明に来ました。」
そう言ってお辞儀した。
「まぁ、魔法学校?」
メグミはあんぐりと口を開けた。
その後、ミネルバを中へと入れ、ホグワーツについて色々な話を聞いた。
全寮制であることや、学費のことについてだ。
ーーーお金、結構かかりそうだけど……
ミライ不安げな顔をした。
「ミライ、お金の心配はいらないよ。君を育てていくためのお金はしっかりある。」
ミライの不安を取り除くように優しく言った。