【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第30章 ハッピーエンド
セリシアside
「そろそろ、もどろっか?」
月の位置がだいぶ変わっていることに気が付いた。
「・・・そうですね。話したかったことはしましたし・・・。さすがにシンたちをそのままにするのは。」
それもそうだと思う。
多分ジャーファルいないからって派手に飲んでるだろうな。
「・・・ね、ジャーファル。私ね、やっぱりこの国に来てよかったって思うよ。」
「そりゃあ、そうでしょう。」
「うん。・・・でもね、本当はこの国に来る前はやっぱ悩んだんだ。私が入れる場所はあるのかなって。でも、やっぱり来てよかったって思う。」
前々からそう思ってはいたけど。
やっぱ、今はより思う。
「ジャーファルがこの国にいるから・・・いっそうね!」
「・・・。」
少しあっけにとられたようだった。
でも微笑んでくれた。
その場の空気なのか、流れなのか。
自然となったその気持ちは戸惑うことも恐れることもなく。
二人は初めてちゃんとした心持でキスをした。
だれに見られることもなく、その場にいるのは二人だけ。
涼しげに吹く風はまるで二人を優しく見守るようだった。
【完結】