【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第29章 39
セリシアside
「―――元の名はね、ヘンデルスの民って名の民があったの。初代国王もユキノ王妃も元は同じ民だったのよ・・・。まあ、彼らの2世代ほど前に分かれているんだけどね。―――」
え、ママ知ってるの?
巫女は巫女でも違う民だし、知らないと思ってた。
「―――内乱を避けるために分けたみたい。それで、巫女が中心となったのがヘルンスの民。もっとも、ヘルンスの民も初代国王のいた民もすでにないのだけれど。こっちは、おそらくもうそれについて知ってる生存者はいないでしょうね。―――」
もう何百年と前の話になるだろう。
いなくても当然か。
「―――それで、その民の最初の創造者は、特別な人だったの。・・・私たちの生きてた世界ができる前の世界。そこの住人だったのよ。―――」
どこか寂しそうに言うママ。
っていうか、前の世界・・・って?
「―――その世界・・・アルマトランで、ヘンデルスの民の創造主、ヘンデルはマギだった。―――」
マギ。
それは知ってる。
そのアルマトランとかいう世界にもいたんだ。
「―――なぜかそれとは別の力も持ち合わせてた。それが、今では巫女の力と呼んでいるものよ。―――」
「ちょ、ちょっと待って!・・・何でママがそんなこと知ってるの?」
そう聞いても、微笑むだけで答えてくれなかった。