第8章 3rd Night 【セス・ハイド】※R-18
ルカの作った料理は今日も絶品で
魚貝の味がしっかり染み込んだ深みのある味わいだった。
あまりお酒のことは知らなかったが
セスの持ってきてくれたワインはとても飲みやすかった。
「ワインって、こんなに美味しいんですね…」
「でしょお?アリスちゃんにも飲みやすいように、甘口だけどスッキリしたやつにしたのよぉー。気に入ってもらえてよかったわ!さ、もっと飲んで!」
セスは軽快な口調でワインを注いでいく。
セスはオネェ口調のせいなのか、途中からだんだん男性と喋っているような感覚が消えていった。
「でね、セントラル地区でいっちばん売れてるカフェでルカとお茶した時にすっごい美味しいパンケーキと出会っちゃったのぉー」
「私もパンケーキ大好きです!」
「でね、ソースがシトラス系とベリー系があるんだけどぉ」
「私、ベリー派です」
「ところがぁ…裏メニューでマンゴーソースがあるのっ」
「えええ!!美味しそぉ……」
ワインの酔も相まって、女子のスイーツトークはどんどん盛り上がっていく。
「そういえば今日はデザートなかったんですね」
「あーデザートはねぇ……アタシが作ってあげるから楽しみにしてて?」
「えー!セスさん作れるんですか?」
「ちょっとそれどういう意味よぉ!アタシだってやればできるのよぉ?」
セスの言葉にレイアは思いきり笑ってしまう。
「ふふ…分かりましたっ。じゃあ、そろそろお茶淹れますね〜」
レイアはキッチンへ向かおうと立ち上がるが
その瞬間酔いが回って足元がふらつく。
「……あっ…」
その瞬間、セスが素早い動きであっという間にレイアの後ろへ立ち支える。
「………」
「……大丈夫?アリスちゃん?」
「だ、大丈夫…です……酔っちゃった、のかな」
曖昧に笑って誤魔化すレイアをセスが再び椅子に座らせる。
「アリスちゃんは座ってて?お茶くらい、アタシが淹れるわ?」
そう言うと、軽快な足取りでキッチンへ向かった。
(……セスさん、すごい動き速っ……)
セスの身のこなしに感心しながら
レイアはぼんやりする頭でセスがお茶の用意をする音を聞いていた。