第7章 DAY3 クイーンとのデート
「君って……ほんと、変な子だね」
セントラル地区郊外の公園。
手入れの行き届いた芝生の上に、レイアは寝転がる。
「こんな、何の変哲もない公園に来たいだなんて…しかも」
「ありがとう、ヨナ」
「こんな小さいのでいいの?」
寝転がったレイアの傍らには
ヨナが先ほど花屋で買った小さなブーケがある。
白とピンクを基調とした、こじんまりしているが可愛らしいブーケだ。
「…赤のクイーンが女性にプレゼントする花がこんな小さくて安っぽい花なんて、正直恥ずかしいくらいだ」
「そうなの?」
「そうだよ。男なら、女性に送る花束は抱えきれないほどのバラとかだろ?」
「……ふふっ、ヨナらしいね」
レイアはブーケを手に取り、思いきりその香りを嗅いだ。
「……ん、いい香り。ありがとう、とてもうれしい」
「…君が嬉しいならそれでいいけど」
ヨナはレイアの隣に座り、同じように空を見上げている。
「ヨナも寝転がればいいのに」
「あのね…この俺がそんなはしたないことするわけないだろ」
「気持ちいいのに」
「それは凡人の君の感覚だろ?」
「………」
レイアは空を見上げたままのヨナをおもいきり突き飛ばし、芝生に押し倒した。
「ちょっと!!」
「ほら、気分いいでしょ」
「何してるの?男を押し倒すなんて女性として恥ずかしくないの?!」
ふいのことでそのまま芝生に倒れこんでしまったヨナは、顔を赤くしながらうろたえている。
そんなヨナの顔を覗きこむ形になってしまい、後から恥ずかしさがこみ上げてくる。
(私、ヨナに何やってんだろ)
「……ご、ごめん」
ぱっとヨナの上から身を起こし、元いた場所に寝転がる。
「………」
沈黙が流れる。
「………まっ、悪くないけどねっ!!」
「…へっ?」
「…こうして空を見てるのも、悪くはないって言ってるの」
(ほんと、素直じゃない物言いだなぁ…)
「この青空と芝生は、私のいた世界に似てる」
懐かしさにレイアは目を閉じる。
「…そう」
「……ねえ、ヨナ」
「…何」
「……もう少しだけ、ここでこうしててもいいかな」
「…好きにすれば?」
ヨナの声色はとても優しかった。