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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第35章 Last 2days【別れ】




「……ん…」


甘い香り。


少し懐かしさを感じる、胸の奥まで吸い込みたくなるような香り。



微かに紅茶の香りも混ざっているが
とにかく、甘くて愛おしい香りだ。



レイアはその香りを吸い込みながら、ゆっくりまぶたを開けた。





頬に触れるシルクのシーツ。
どこからか柔らかい風が入ってくる。


(……ん…あれ?)


一瞬、自分の居場所が分からなくなる。


(これ、夢……?私…何してたんだっけ……)


部屋の中は思いのほか明るく、目が慣れるまでに時間がかかる。


(ヨナに許しをもらって、黒の兵舎に遊びに来て…パーティがあって…それで……)


断片的に残る記憶。

(シリウスさんが…倒れて……それでえっと…)


そのうち目が慣れてくる。


(あれ…ここは)





サーモンピンクとペールオレンジに包まれた部屋は
黒の兵舎の部屋ではなかった。



「やっと起きたんだね」


「……っ!」



すぐ後ろから声がして、レイアは驚き肩を揺らした。


「……ヨ、ヨナ!!」



(どうしてヨナの部屋にいるんだろう……?)


振り向き、疑問が一気にあふれ出す。



(やっぱり夢?)



扉を背にもたれかかってこちらに視線を投げるヨナは、眉間にしわを寄せている。


「……何、幽霊でも見たような顔してるのさ」


「だ……だって…私どうしてここにいるの…?」


はぁ……と盛大なため息がヨナの口からもれる。


「……君って本当に…お気楽でバカなんだね」

「バ……っ!」


不機嫌そうに腕を組みながらヨナはつかつかと歩み寄る。


「君は黒の兵舎でちやほやされて調子に乗ってお酒をあおって…酔いつぶれて意識が飛んだままここに送り届けられたんだけど?!」


「……えっ?!」


レイアの顔が青ざめる。


ヨナはソファに腰掛け、レイアと目を合わせず忌々しげに呟く。

「しかも…よりにもよってあの花咲か野郎に……っ!」


「えっ……シリウスさんが…」


レイアの記憶が断片的に蘇ってくる。


…酔いつぶれたシリウスさんに抱きとめられ、セスさんがやってきて……

レイアはゾクリと肌があわ立つ感覚を覚えた。


(……そうだ、それで…)


部屋に戻ってからフェンリルがやってきて…

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