第34章 last 4d night【フェンリル】※R-18
音を立てないようにレイアの部屋に入ったフェンリルは
部屋の中の意外な光景に一瞬息を呑んだ。
「あ………」
そこには
薄手のガウンを羽織ったレイアがベッドに腰掛けながら
窓から見える夜空を見つめていた。
「レイア……」
「……あ…フェンリル……」
レイアは柔らかくフェンリルに微笑みかけた。
微かに色香の残るレイアの顔は少しだけ疲れが見える。
「大丈夫か?レイア……水、持ってくるか?」
「ううん……大丈夫…ありがとう」
少し俯くレイアに、フェンリルはその場で言った。
「その……なんつーか…悪かったな…」
「えっ……?」
フェンリルはばつの悪そうな顔を浮かべる。
「……うちの…オッサンとオネエが…その……」
「フェンリルは…優しいんだね」
「…レイア……」
「……私、自分でもおかしいの。ヨナのことが好きなのに……黒の軍のみんなと一緒にいるのがとても心地よくて…ずっとここに居たくなる」
予想外のレイアの言葉にフェンリルは目を見開いた。
「普通…一番好きな人のそばにいたいって思うはずだよね…ましてや……他の人に抱かれて嬉しいなんて…あり得ないよね……」
微かにレイアの肩が震えている。
「どうしちゃったんだろ……私、ヨナのこと好きなのに…どうして……っ」
「……レイアっ」
フェンリルは言葉より先に身を乗り出し、ベッドに上がって後ろからレイアを抱きしめた。
「…泣くなよ、泣かなくていいから」
抱きしめるフェンリルの腕にレイアの手がそっと触れる。
「だって……おかしいよ…私……シリウスさんのことも、セスさんのことも……受け入れてたの………やじゃなかった…!私…ひどすぎるよ……!」
「ひどくねーって!」
抱きしめる腕に力をこめながら、フェンリルはレイアの耳元で強く言い放った。
レイアの震えがとまる。
……フェンリルは徐々に腕の力を緩めながらゆっくり言った。
「お前はおかしくもひどくもねぇよ…。赤のクイーンもお前の大切な奴で、俺たちのことも大切だってことだろ?」