第33章 last 4d night【シリウス、セス】※R-18
「……まったく…いい歳して……やるわねオッサン」
「オッサンが余計だ……怪力オネエ、いや、ドスケベオネエ」
「何よその言い方!」
乱れた服のまま座り込む二人の間には
あられもない姿で意識を失っているレイアが横たわっている。
「こんなことしたら…ますます黒の兵舎に来てくれないじゃないの」
「こんなこと始めたの…お前だろうが」
「やーん!最初はシリウスが一人でアリスちゃん食べようとしてたんじゃなーい!」
セスは汗だくのシャツを丸めて、その場に立って言い放つ。
「うるせぇ。知るかそんなもん」
「あ、出た。酔っ払いの記憶の曖昧さ出た」
シリウスは苦笑してセスに向かって手を払うように振る。
「お嬢ちゃんには俺がついてるから…お前風呂でも入って来い」
「なぁに?また独り占めするつもりってこと?」
「…バーカ。さすがに意識のねぇ女抱くほど趣味悪くねぇよ」
セスは解けて広がった長い髪をかき上げると、お礼を言う代わりに片手を挙げて、談話室を出て行った。
シリウスはすやすやと眠るレイアを毛布にくるむと、そのままひょい、と抱き上げた。
「さて……他の連中に見つかったらマズいからな…」
そうつぶやくと、レイアを抱きかかえながら階上の部屋へと向かっていった。
レイアの部屋のベッドに彼女をそっと寝かせ、音を立てないように扉を閉めたシリウスの元に、一つの人影が近づいた。
「あのまま赤のクイーンには渡せねーだろ、シリウス」
「……わかってる」
バイオレットブロンドが暗い廊下に差し込むわずかな月明かりに反射する。
「ったく……年長組はレイアに嫌われてーのかよ?」
「そういうお前はこんな時間までここで何を待ってたんだよ?」
フェンリルはふん、と鼻で笑って返した。
「オッサンたちに痛めつけられたレイアのフォロー…ってとこか」
「ヤりてーだけじゃねえのか?」
「一緒にすんな」
「……モテる男は余裕だな」
シリウスは苦笑してそのまま自室へと姿を消した。
「……余裕なんて…あるわけねーだろ」
フェンリルはレイアの部屋の前に立つ。
(あいつの前で余裕保てる奴がいるなら…見てみてーよ)
レイアの部屋のドアノブに、フェンリルの指がかけられた。