第27章 12th Midnight 拉致 ※R-18
「……んん…」
頭がひどく痛む。
目の前が急に明るくなり、レイアは目を覚ました。
「目覚めたか、アリス」
まぶしい光の中。
何者かの影が自分を覗き込んでいる。
「……誰…」
だんだんと目が慣れてきて、その姿をとらえることができる。
紫色のフード。
黒いローブ。
……黒い、ローブ。
見覚えがある。
「我が名は…アモン・ジャバウォック」
「アモン……」
意識の朦朧としているレイアは、身体を起こそうとするが身動きが取れない。
カシャン。
手首と足首に、金属音がする。
「大人しくするがいい」
ベッドの上で、手枷と足枷をされ、縫い止められていることに気づく。
「いったいこれは……ヨナは?みんなはどこ?!」
アモン、と名乗った男は不気味な笑い声を上げた。
「自分の立場が分かっていないようだな」
「うっ……!」
アモンは乱暴にレイアの顎を掴むと、無理やり口をこじ開けてアンプルに入った液体を口に注ぎ込んだ。
「んんっ!!」
口の中に違和感のある甘さが広がる。
舌が痺れるような甘さだ。
「我々の所有する魔宝石とお前の弾く能力があれば、無敵の軍隊を作ることができる……素晴らしいだろう?私の理想郷作りに、お前は役立つことができるのだから」
「そんなこと……絶対させな……っ…!!」
ドクン。
心臓が大きく脈打つ。
(え?なにこれ……)
早鐘を打つ鼓動と共に呼吸が乱れていく。
全身の血液が逆流するような感覚と共に、身体じゅうが火照り出す。
(な……なんなの……)
意識まで朦朧としてくる。
「効いてきたな」
アモンはフードの奥でにやりと笑うと、懐からナイフを出しレイアにかざした。
「…や……っ!!」
喉元に刃を立てると、アモンは一気に服を切り裂いた。
「いやっ!!!」
反射的に身体が反応し、手枷が空しい金属音を立てる。
「さぁ…最強の兵隊を作るのだ。明日の朝、両軍幹部の首を全てガーデンに並べてやろう!!」
アモンの背後には何人もの魔法学者たちが現れ
一糸まとわぬ姿になったレイアを取り囲むように覗き込んだ。
「………や、だ……いやーーーっ!!」