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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第3章 DAY1 赤の兵舎




男性に部屋に招かれるのは
昨晩のこともあり少し抵抗があったレイアだったが


ヨナの部屋に入ったとたん
甘い香りが鼻をくすぐった。


「わ……いい香り」


「当たり前でしょう?セントラル地区で有名なパティスリーから買ってきた焼き菓子を用意したんだから」


ヨナの部屋のテーブルには
アフタヌーンティの用意がされていた。


「うわ……美味しそう」

レイアは目を輝かせる。




「君の住む世界にはこんなのないんでしょう?この俺に感謝するといいよ」


ことあるごとに上から目線のヨナの態度も、少し慣れてきた。


観察しているととても面白い。

ヨナはそそくさとテーブルにつくと

「君もぼーっとしていないでさっさと座りなよ」

と苛立ったように席をすすめてきた。


「あ、ありがとう」



レイアは席に着くと
ヨナとの奇妙なアフタヌーンティを楽しむことになった。







「えっ、じゃあ君は向こうの世界でパティスリーで働いていたの?」


「うん…作る方はやってなかったけど、でも趣味程度にはやってたよ」


「そう……でもこっちの世界のお菓子の方が美味しいでしょう?」


ヨナは何かにつけて優位に立ちたいらしい。


「うん、そうだね…でも一つだけ、私のお店の方が勝ってるのがあるかも」

「え?何?どれが勝っているって?」

甘いものに対するヨナの反応は随分敏感だ。



「…マドレーヌ。うちの店のマドレーヌはロンドン一評判がいいの。しっとりとしていて、卵の甘みとオレンジの風味のバランスが最高なの…隠し味もきいてて」


「隠し味?何を入れているの?」


ヨナは身を乗り出しレイアの顔を覗きこむ。


不意に近づいた榛色の瞳に、レイアは胸の鼓動がどきりと高ぶった。


「そ、それは…内緒」

「……なんでだよ」


レイアはふふっと笑う。


「……そんなに甘いものが好きなら、いつか食べさせてあげたいな」

到底叶うことのない願いをレイアは呟く。


「そんなの無理に決まっているだろう?」


やれやれ、といった顔をしたヨナは紅茶を一口含んだ。


窓の外は日が西に傾いている。


夜が近づいていることに、レイアは何とも言えない胸のざわめきを感じていた。


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