第19章 DAY9 奇襲
「………っ!」
(……これ、俺どうすればいいんだろ…)
夜明けの時間。
迎えのために月小屋へ足を踏み入れたルカは
目の前にいるレイアの姿に
顔を赤くしながら立ち尽くして戸惑った。
肌掛けがかかっているものの
そこから覗く、なめらかな肩やすらりと伸びる足が
彼女が一糸まとわぬ姿でいることを物語っているようだ。
「……レイア」
ルカは戸惑いながら彼女の名を呼ぶも
まったく目覚める気配がない。
(………どうしよう)
ルカはベッドの淵に腰掛け、レイアの顔を覗きこんだ。
少しあどけない顔をして、穏やかに眠っている。
(……可愛い)
思わずルカの口元がゆるむ。
(……ダメ…でも……)
ルカは少し躊躇いながらも、頬を染めながらゆっくりとレイアの唇に自分の唇を落とした。
「……ん………」
レイアから僅かに声が漏れ、ルカは慌てて離れた。
「………あれ…ル、カ……」
レイアの顔はぼんやりしている。
「……大丈夫…?」
「…うん……」
「……昨日、大変だった?」
憂いを帯びた目のルカに答えようと記憶の糸を辿るが
レイアにはあまり良く思い出せなかった。
カイルがいたことは覚えている。
その先は断片的な記憶しか残っていない。
「……よく…覚えてない…」
「…お風呂……入ってきたら?」
「……うん…あ…れ??」
そこで初めてレイアは自分が全裸であることに気づき、慌てて肌掛けを握りしめる。
「……俺…紅茶淹れてくる……」
ルカはレイアと目を合わせずにキッチンの方へ向かった。
(ルカ……気を遣わせちゃったかな…)
レイアは肌掛けをかぶったまま、バスルームの方へと向かっていった。