第17章 DAY8 思惑
「ランスロット」
入らずの森。
日中だというのに薄暗いこの森は、『入らずの』というだけあって普段人がいることはまずない。
その暗い森の中で
ランスロットの白い軍服と赤いマントが、ひときわ目立っている。
ランスロットの前には、黒装束に紫色のローブを被った顔の見えない男だ。
「アリスと儀式を行っても魔法の力は相殺されん。むしろその逆だ。攻撃と防御、最強の力を得られる」
「………」
ランスロットは黙って聞いている。
「お前自身、必ずその力を手に入れろ。そして赤の軍にアリスをとりこむのだ…。そして黒の軍を傘下に入れれば、全ては一つになる…」
「言われなくともそのつもりだ」
ランスロットは短くそう答えた。
「……物分かりがよくて助かる…」
男は懐から光り輝く魔宝石を取り出すと
あっという間に赤い光に包まれ、忽然と姿を消した。
「……お前の真の企みも…分かっているつもりだ…アモン」
ランスロットの最後の言葉は、誰にも聞かれることなく
森の闇に消えていった。