第7章 ハイズと豚野郎と犬
「しばらく眼を覚まさないと思います。まぁ、起きたら白湯から始めなさい。」
そう壮年の医者のような口ぶりで短パンをはいた少年は地面へと消えていった。
ハイズをベッドに寝かせたまま、他の人たちはリビングへと移動した。
「ハイズを助けて下さりありがとうございます。この御恩は一生忘れません。お礼は如何様にも。」
そう言って幾何学模様の入墨が入った背中を晒し土下座する犬兄弟二人にジールは息を飲む
「この種族は...もはや絶滅したと思っていました。元々の個体数が少ない長寿種ですが、群れは隠れて生活して一切現れないと。50年ほど前には闇市に鞣した生き皮が売られていたと聞いたのが最後です。ブラックハウンド。神が作りし最古の種族が一つ。まさかお会い出来るとは」
「私たち二匹で最後です。私たちの命は貴方様の物です。我々の命は如何様にも。しかしハイズは、ハイズの事を保護していただきたい。お願いします。」
床におでこを擦りつけて屈強な上半身裸の男二人が土下座している
そんな状況を白いガウンを着、皇の膝に乗せられて脚を組む女は軽く軽く手を振って答える
「みんなここにいればいいよ、あなた達もハニーも。第一その模様きれいだけど、剥ぎ取って飾る趣味はないし、好きに生きなよ」
あっけらかんと、何の事も無いような口ぶりで応える異世界からの住人はこちらの世界といい意味で感性が違いすぎる。
自由に生きるのが当たり前で、それが許されるなんて事はこの世界ではあまり無いことだ。
その自由奔放な発言が二匹には嬉しかった。
そこからは話が良いように進み、豚と猪は農林部から外され、そこへ羊が治まった。
ハイズやジェイクダレクは監査部として自由にかつ、上から物を言える立場になった。
元々が皇政権でもある為、異論を唱える者はいない。
晴れて3匹はこの国の住人になった。