第7章 ハイズと豚野郎と犬
あのキスだけでイってしまったあと、軽々とあの泥棒猫、に抱き抱えられ一緒にお風呂に入れられた。
なんの躊躇いもなく、しかも手際よく服を脱がされてしまい、あっという間に洗われてしまった。
「ふぃー、気持ちいいね」
もなぜか脱いで一緒に入っている。
「あんたなんの目的で神子名乗ってんのさ」
お風呂でたゆんたゆん浮いているおっぱいから目を背けつつ話し掛けてみる
「あ、でいいよ。んー、私もなんで連れてこられたか分かんないんだよね。まぁ、あの変態の運命の相手らしいからさー。ついでなら面白い方がいいよね」
お風呂の淵に腕を掛けて喉元晒している。いつでも噛み千切れるのに、なんて思いながら恨めしくを見つめる
「可愛いものが好きなんだ。ラーニャも可愛い。君も可愛い。この子たちも可愛いよ」
広いお風呂のなかでうつ伏せに泳ぎ猫足浴槽の外で心配そうに座っている黒犬の鼻に水を垂らす
「可愛いものは可愛がってあげなきゃだめなんだ。虐げるのはいけないよ」
キスされた弟犬が鼻の頭に落ちた水滴をベロンと舐めた
まるで自分たちを庇護するような見透かす言い方にカッとする
この女になにが分かるのか。虐げるのはいつも強者で弱者の僕たちがどれだけの体と心をすり減らして、それでも這いつくばって自分の居場所を必死で守っているのに。
ミスティリーフがこの国を去って、ハイズはこの国へ残るよう言われたとき、絶望した。
あいつは僕を見限った。捨てたのだ。
昔を知るのは僕たちだけで、過去と僕を捨てた
それでもたくましく、図々しくこの国で生きていかなければと思ったんだ。
最低な官僚の豚どもに宿を貸してもらい、体で払いながらも自分の居場所を作っていた。
それを可愛いとか・・・うるせーよ。
唇を噛みしめ、拳を震わせながら泣くもんかと耐えている子犬の目じりをペロリと舐める
「君はしたたかで、狡くて、強くて 可愛いよ」
「だから私と一緒に胸くそ悪い豚野郎をやっつけようよ。私、税金を餌にブヨブヨ肥えた豚って嫌いなの。」
簡単に言わないでほしい。この国を、この世界を知らないくせに。
官僚をやっつけることなんてできない。だって市民が何を言っても官僚のほうが強いから。