第5章 この世界の人々と生活
勢いよく閉められたドアが反響して耳鳴りのような余韻を残すなか、一緒にお風呂に入ったのだろう薔薇の刺繍が入ったバスローブ姿のか
部屋から出てきた
「あーあ、逃げられた」
残念そうにくちを尖らせながら皇の間にきて、レオンに向き合う
「あの子を私の従者にする。代々の神子に遣える従者ってことにしたらここにいてもでかい顔できるじゃん、豚野郎よりも猪野郎よりも位が高くなるしさ」
豚は中流の官僚だが、猪はもうひとつ上の官僚だ。
どうやら豚にも猪にもいたぶられているらしい
「なんだ、同情か?第一本人が嫌がってるなら無理矢理従者には出来ないぞ。それにあれを従者にしてなにさせる?嫌われてるなら着替えだって入浴だって手伝ってはくれんだろう?」
上流の娘や妻につく従者は、ふつう身の回りの世話をする
嫌われてるならやってはくれないだろうとくびを傾げる
「べつに自分でお風呂も着替えも出来るよ。ハニーにはもっと重要な事をしてもらいたいの。使える豚と使えないゴミを分けてゴミは処分したいの」
酷い言いようにレオンは口をひくつかせる
「それは・・・あれか?官僚の仕分けと言うことか?」
たしかにジールも思う事はたくさんある
汚職にまみれた官僚と虐げられる国民、下品な振る舞いに何度も頭を痛めてきた
必要のない部署や名前だけの官僚もいるが、代々官僚の家系で続けてきた所もあり今さら変えられないのだ
「とりあえず豚どもは根絶やしにしていいと思う。」
ここ数年、猪の官僚率いる外務官の行いは良くない
勝手に関税をかけて私腹を肥やしてると噂もある
の言いたいことは分かるが、会議なしにこの場で従者の事も内政についても決められないので一旦持ち帰ることにして、レオンとジールは部屋を後にすることにした。
異世界からが来て少しずつ動き出してる
それがよい方向なのか悪い方向なのかは分からないが、レオンもジールもの事を嫌いではないらしい