第3章 救世主・・・?
「信じられん!信じられんが・・・本物だろうな」
レオンは頭が固いがバカではない。
皇が実際に起き上がり、しかもとても若返っていること。誰にも気づかれず侵入するのは難しい世界樹に忽然と現れたこの女性は本当に異世界から連れてこられ
そして実際に水量を増やしたのは世界樹の皇が何かしら再生されたのだと分かる。
ジールは自分が着ていた羽織を一枚脱ぐとと名乗る女性に手渡し、にこやかに一礼するとレオンと共に一度部屋から出た。
「吉兆なのでしょう。これは。番(つがい)と言っていましたが、過去の文献でも神子と呼ばれる代弁者は存在していますが番と呼ばれる存在は書いてありません。」
ウロウロと目の前を行き来するうざい鬣(たてがみ)を一瞥し、ジールはすでに文献に書き加えるべき事柄を脳内で文章に起こしている。
同時に老官や他の書官および国民になんて説明するか頭を巡らせている。
「とりあえず、水が湧き出てよかったと思う。国民には果てで苦しんでいるものが枯れ病に伏せていると知らせが届いた。不衛生な状況も、麦が出来ぬほど枯れた土地もこれで良い方向へ向かうだろう。」
武官レオンは国の代表として、皇とは違う王として貿易や外交の責任者をしている
代表らしい発言にジールはそうだな、と深く頷く
とりあえず水が涌き出たことにより、世界樹の迷宮へ潜らなくても良さそうだ。
迷宮へ探索へ行くのは命がけで、男手を減らす事は農業をするのは女子供と老いたものだけになる。
そんな疲弊していくばかりの国などすぐに終わる。
その危機は回避した。やはりは救世主なのかもなんて二人は思いながらドアを開ける
「嫌だ!もうしない!今日はもうしない!・・・舐めるだけもない!」
そこでは床に土下座する皇と、ベッドに腰かけて皇の頭を踏みつけている異世界の女のやり取りが繰り広げられていた。
こんな、こんな物なのか?救世主ってこんな感じなのか?