第3章 1日目
「エース!起きなさいっ!」
リラは朝起きるなりエースの包まっている毛布を引っぺがした。
「こき使うって約束でしょう?さっさと起きて。買い物行くから荷物持ちしてほしいの」
リラは眠そうに目をこすっているエースに畳み掛けた。
リラが自分の支度を整えてエースの方を見ると──エースは上に何も羽織らずに外へ出ようとしていた。
「ちょっ!何してんのあんた!」
「何って……支度だろ?」
「せめて上に何か羽織って!ジャケットとか!」
「何でだ?」
理由が思いつかない、という顔のエースにリラはイラっとした。
「背中の刺青よ!それ見えてたら海賊だってバレるでしょ!」
「何でこいつを隠す必要がある?」
「住人が怖がるから。嫌っていうならここには泊めないわよ?外で野宿なり何なり──」
「分かった分かった」
エースは降参といったように両手を挙げた。荷物からジャケットを引っ張り出して羽織る。
何だ、あるんじゃない──ホッとしたのは多分気のせい。