第10章 【最終章】 再出発──未来へ。
──2年後、新世界のとある島にて。
「ねぇエース」
2年前、頂上戦争で亡くなったポートガス・D・エースの墓の前に佇む女が1人。
その女は左手首にバングルを付け、その二の腕にはエースが彫っていた刺青を入れていた。
そして背中には──大きな蝶のような火傷を刻んでいた。
「ルフィ君ね……華々しく“新世界”へ旅立ったわ。さすがあなたの弟ね」
女はエースの墓にパサリと新聞を置いた。そして彼女の手の中にはライラックとハイビスカスがある。
ライラックは彼女の花。ハイビスカスはエースの花。
「あのねエース。私、もう後悔しないように生きるって決めたんだ。2年前みたいに後悔するのは嫌だから」
何も言わない墓に向かって笑う。
「頑張るよ」
エースの遺志は、私が──
そこまで思い、女は首を振った。いいえ、違う。
「エースの遺志は、私が──“私たち”が継いでいく。だから安心して成仏してよね?」
くすっと笑う。遠くでエースが苦笑いする声が聞こえた。
『冗談キツイぜ』という、最愛の人の声が──