第8章 ポートガス・D・エース
「おれが本当に欲しかったものは……どうやら名声なんかじゃなかったんだ……“おれは生まれてきてもよかったのか”、欲しかったのは……その答えだった」
リラは胸がどくんと脈打つのを感じた。それはリラが今まで抱えてきたことと同じだったから。
「……ハァ……もう……大声も出ねェ。……ルフィ、リラ……おれがこれから言う言葉を……お前、後からみんなに伝えてくれ」
「エース……?」
分かってる。彼の命の炎は消えかけているのだということくらい。
でも、それを信じたくなかった。信じたら、本当に彼は死んでしまいそうで。
「……オヤジ……!!……みんな……!!そしてルフィ、リラ……今日までこんなどうしようもねェおれを……鬼の血を引くこのおれを……!」
エースが鼻をすする音が聞こえた。
「愛してくれて……ありがとう!!!」
エースはニッと笑い、ルフィの肩からずり落ちた。ドサっ……と、力なく。
その顔は笑顔で、幸せそうだった。
ポートガス・D・エースが死した瞬間だった。