第2章 出会い
「白ひげ海賊団2番隊隊長ですって……?」
「あぁ。それがどうした?」
リラは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「何でそんな人がここに?」
「あぁ、おれァバナロ島に行きてェんだが……ここのログはどのくらいで溜まる?」
「話聞いてる!!?」
リラは思わずツッコんだ。だが訊かれたことにはきちんと答える。
「ログなら3〜4日で溜まるわ。でもここには海軍もいるから……あなたが無事にこの島にいられるとは思わないでね」
じろっと睨みを効かせると、エースと名乗った青年はニッと笑った。
「じゃあとりあえずお前の家に入れてくれよ。ここはめちゃくちゃ寒ィからな」
エースにそう言われたが、リラは速攻で却下した。
「誰が海賊なんて家に招くと思うの?いつ私を殺すかも知れないし、島の住民に被害を加えないとも限らない。そんなあなたをのうのうと家にあげられますか」
そう言うと、エースは懐から一枚の紙を取り出して来た。
「……何、これ」
リラが訊くと、エースははっきり言った。
「白ひげのビブルカードだ。おれがいつか船に戻る時に必要なんでな」
「それをなぜ私に?」
「お前がそれ持ってろよ。ログが溜まる3〜4日の間、お前がそれをどこかへ隠しておけばいい。そうすればおれはお前を殺せないだろ?」
確かにそうだ。だがリラにはもう一つ懸念があった。
「島の人を殺さないと言う保証は?」
「おれァ弱い者イジメは嫌いなんでな。いきなり人殺しなんざやらねェよ」
エースの目はまっすぐリラを見ていた。
信じる?信じない?
「……本気で言ってるの?」
「あぁ、本気だ」
──信じてみなきゃ、始まらない。
「……分かった。とりあえず1日だけ信じてあげる。でも、私の家に置くからにはこき使うわよ?」
「ああ、構わねェよ」
リラが言うと、エースはまたニヤリと笑った。