第8章 ポートガス・D・エース
「そういえば」とスズシロが切り出した。
「お前、帰ってきてからよく笑うようになったな」
「そう?……私としては女の格好して男言葉使われる方が気色悪い」
「キビシーなー。やっぱそこはリラだよな」
くだらない話をしているうちに、エース達の近くまで来た。
「今から伝えるのは……!最後の船長命令だ……!!よォく聞け……白ひげ海賊団!!」
「オヤジ……!!」
白ひげが血を吐きながら“息子”達に伝える。
「お前らとおれはここで別れる!!全員!!必ず生きて!!無事新世界へ帰還しろ!!」
海賊のみならず、海軍もどよめいた。
白ひげは死ぬ気なのだ。
「おれァ時代の残党だ……!新時代におれの乗り込む船はねェ……!行けェ!!!野郎共ォ~~!!」
白ひげの拳が唸る。マリンフォード全体が激しく揺れる。
「いやだオヤジィ〜〜!!!」
「おっさん!」
「オヤジ……!」
船員はそれぞれに拒否しようとするが、『船長命令』に逆らえる者などいやしなかった。
「白ひげ……」
「随分 長く旅をした……ケリをつけようぜ……海軍!」
白ひげがニヤリと不敵に笑う。
エースに気づかう事もなくなった今……白ひげは本気でこのマリンフォードを己の命と一緒に、海に沈めるつもりであることは明白だった。
「エース!行こう!おっさんの覚悟が……!」
「……わかってる!無駄にゃァしねェ!」
エースは白ひげに群がっている海兵を一掃し、白ひげに向かって土下座をした。
「……何してんだアイツは」
「彼なりに……敬意を払ってるのよ、オヤジである──白ひげにね」