第8章 ポートガス・D・エース
巻き上がる爆炎の中に炎のトンネルが見えた。
「まさか……」
「やったか、エースの弟」
建前上、リラは大きく舌打ちをした。
「お前は昔からそうさ、ルフィ!おれの言う事もろくに聞かねェで無茶ばかりしやがって!」
リラは心の底からホッとした。無事に……エースが出てきてくれた。
エースに抱えられているルフィは半べそで「エース〜〜!!!」と泣きつく。
「戦えるかルフィ!!」
「勿論だ!!ハァ……!ハァ……!」
エースとルフィは背中合わせに立つ。
「火拳のエースはロギア系だぞ!絶対に逃がすな!」
センゴクが叫ぶ。
エースがリラの方をチラリと見た。リラは大きく頷き、顎で白ひげの方を指した。
悪いな。
そう、エースが言った気がした。
海軍の放った銃弾を、ルフィがゴムゴムの体で弾き返した。刹那、剣の刃がルフィに迫る。が、次の瞬間エースの火が刃を溶かしていた。エースは余裕しゃくしゃくで、
「弟なんだよ、手出し無用で頼む。”火拳”!!」
その姿を見ていたリラとマルコ。いつの間にか戦いはやめていた。
「ふふ!何て気の合い様だよい」
「兄弟だものね」
リラの頭を誰かがはたいた。
「いったぁい!」
「おれにお前を叩かせるなよ。凍るだろが」
はたいたのはスズシロだ。海賊と馴れ合うな、と言いたいのだろう。リラはちろっと舌を出した。
「ごめんごめん。じゃあ行くわ、一応でも止めてますってこと見せつけなきゃ」
「大変だな、海兵も」
「お互い様よ」
ふ、とマルコと笑いあう。軽く手を振り、リラはエース達を追った。