第7章 頂上戦争
リラが本部に帰還してからしばらく経った。何度もエースに会いに行こうかと思ったが、その度に自分の身分そして能力がチクリと心を刺す。
嘘はついていない。でも騙していたのと同じようなもの。リラは大きくため息をついた。
「あーあ……」
ギッと椅子に大きくもたれる。その様子を見ていたスズシロは軽く苦笑した。
「雪女も大変ね?」
「……絶対思ってないでしょ」
「バレた?」
ケラケラと笑うスズシロをぎろりと睨む。
「……あのね」
スズシロにポツリポツリとこぼす。
「私に触れて凍らなかった人って初めてなの」
自分から触れれば、凍ることはない。というか、凍らせるか否かを自分でコントロールできる。
だが、他人から触れられると途端に凍る。なぜなのか、なんて考えても仕方ない。
「メラメラの実だからなのかな……」
「そんなの関係ないわよ。リラは好きなんでしょ?」
スズシロの問いにこくんと頷く。
「でも仕事には支障出さないつもりよ?そこら辺は私だって分別あるわ」
「うん、分かってる」
にこやかにそう言われ、逆に返す言葉に戸惑った。
「まぁ仕事に支障出さないでね」
「当たり前でしょ」
ニヤリと笑うスズシロに、リラも笑い返す。