第5章 3日目
もう少しでログが溜まる。早ければもう今日には溜まるだろうが──エースのログポースはまだ次の島を指さない。
「まだ溜まんねェのか」
「もう少しでしょ。遅くても明日には溜まると思うわ」
そうしたらもう──サヨナラしなくてはならない。リラは胸に小さなしこりを感じた。
「……ねぇエース」
「ん?何だリラ」
「今日は私に付き合ってくれるかしら?行きたいところがあるの」
そう言うとエースはニッと笑って、
「いつもおれはお前に付き合わされてるだろ」
とからかい気味に笑った。リラもくすっと笑い、「そうね」と答えた。
「でも行きたいところってどこなんだ?」
「この島のお祭りよ。雪祭り」
「寒そうだなァ」
「冬島だから。嫌なら行かなくてもいいのよ?」
「──いや、行く」
意外にもエースは即答。だがその後うーんとまた唸り始めた。
「今度は何?」
「おれァメラメラの実の能力者だからなァ。雪を溶かしちまわねェか心配でよ」
「……そう言えばそうだったわね」
そう、すっかり忘れていたがエースは白ひげ海賊団2番隊隊長。能力者でないわけがないのだ。
「でも平気よ。私がいるから」
「そういや、お前も能力者なのか?」
エースに訊かれ、リラは答えに戸惑った。能力者──ではない。だが、一般人でもない。
どう答えればいいものか迷った挙句、リラの出した答えは──
「……雪を操れる魔法使いってことにしといて」
苦肉の策でそれだけ絞り出した。