第4章 2日目
「……まぁ、いいんじゃない?」
「……え?」
あっさり言ってのけたリラに、エースの方が驚いたようだ。いつもは凛々しい目が、まん丸く見開かれていた。
「親が犯罪者だったとしても、生まれてくる子供に罪はないでしょ?」
「……」
リラは思ったままを言っただけなのだが……なぜかエースは黙り込んでしまった。
「……エース?」
「……もし、その子供が『鬼の子』って呼ばれてたら……?犯罪者の子供として世界から嫌われてたら……リラはどうする?」
「また“もしも”シリーズ?」
呆れつつもリラは答えを出す。
「私は嫌わないわよ。だってその子が悪いわけじゃないのだもの。そうでしょ?」
今のも本音を言っただけ。なのにエースは何を思ったか目をぎゅっと瞑り、
「……ありがとう」
と呟いた。その言葉が何を意味するのか──この時のリラはまだ知らない。