第4章 2日目
次の日。
また、昨日と同じように街へ買い物へ行った。エースも今度はちゃんとジャケットを羽織っている。
「今日は何買うんだ?」
「昨日食材はたくさん買ってあるから、植物の苗かしらね」
「苗?」
エースはきょとんとして問い返して来た。リラは頷く。
「そ。ここは冬島だから植物はあんまり育たないけど……私の小屋は温室があるし、何とかイケるのよ」
リラはそう言って笑ってみせた。
村はずれにある小さな花屋。リラは迷わずそこへ向かい、慣れた手つきでドアをノックした。出て来たのは渋いツラをした年寄り。
「おはようおじいちゃん。苗ある?」
「……何の苗だ」
「そうね……ハイビスカスと野菜の苗を適当に」
「……中入って待ってろ」
年寄りはしかめっ面でそう言うなり部屋の奥へ入っていった。リラが当然のように中へ入るので、エースも続いて中に入った。
「リラ、ありゃあ誰だ?」
エースが訊くと、リラは答えた。
「植物の苗を育ててる人。新しく苗が欲しい時はみんなここでもらうのよ」
「あのジジイが?植物育ててんのか!?」
「ちょっとエース?あなた何気に失礼よ」
リラはじろっとエースを睨んだ。
と、タイミングよく年寄りが顔を出した。
無言でリラに袋を突き出す。
「ありがとう!これでしばらくは平気ね」
「水やりはワシがしておく。お前はゆっくり仕事をしていろ」
「ありがとう、お祖父ちゃん」