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(R18) Lv.5 (HQ)

第3章  Lv.12



 山のない都会の地形に感謝しつつ、駅入口と書かれた交差点を左折する。

 焼鳥専門店に、和風ダイニング。
 数えきれないほどの飲食店が並ぶ通りを抜けると、ようやく彼の自宅が見えてきた。

 数時間前、二人で歩いた道。

 乱れてしまった息を整えるためにペースを落とし、最後は歩いてマンションへと辿りつく。


 なんでだろ。

 なんか、緊張してきた。


 ふーー……と、ひと息。
 細く長く息を吐きだしてから、薄墨色の階段を踏みしめる。一段、また一段。

 階上へと近づくたびに大きくなる鼓動。鉄朗さんはもう、帰ってきているだろうか。


 215号室の前に、着いて。


 まず迷った。
 これ、インターホンって鳴らしたほうがいいのかな。それとも普通に開けて入るべき?

 んー、迷う。
 どうしよう。

 家主はもちろん彼なワケで、私は居候だ。ほぼ他人というか丸々他人なのだからやはり前者、いや、でも──


 散々悩んで、考えあぐねた末。


 私はそっと入室することにした。

 すでに彼は寝ているかもしれないと思ったのだ。夜通し働いた後だし、立ち仕事で疲れているだろうし。

 その場合を想定して、そっと。
 静かに、静かに、ドアノブを引く。











 ガチャンッ、と虚しい音がした。

「んんん鍵! 悩んだ意味!」
 早朝の首都トーキョーに響いた、私の素頓狂な声。

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