第3章 事件の日
突然の物音に、思わず息を潜めてその場で固まってしまった。
誰が入ってきたのだろう。
もしかしてハンジさんかもしれない。
遅すぎて探しに来たのかも。
だが、そんなアイリーンの考えは訪問者の声によって否定された。
「ここだ。ここに隠しておけ。」
「見つからないのか?本当に。」
「大丈夫だよ。じゃぁ今晩な。」
「よし。行くか。」
こそこそと聞こえてきたのは、聞いたことのない男性の声。
何かを隠しに来たのか、ものの数分で資料室から出ていった。
確かにこれだけ物が散乱している部屋なら、隠し場所としては最適かもしれない。
アイリーンは男性が出ていったのを目視で確認すると、ゆっくりと彼等が居たであろう場所へと向かった。
そこには古びた木の箱が2つ置かれている。
中を確認すると、入っていたのはお酒だった。
成る程、夜中にこっそりと楽しんでいるわけだ。
アイリーンは何か大変な物を隠しているのかと、ドキドキしていた。
それだけに拍子抜けする隠し物に、すこし落胆した。
ドキドキを返せ! と言いたい所だが、まぁこれくらいならハンジさんに報告するだけで許してやろう。
そっと木箱を元の位置に戻して、アイリーンはまた宝探しへと戻った。